2020年は新型コロナによるパンデミックが発生した年として、歴史的な年となるだろう。もちろん、苦難が多々あった年として記憶に残るのだ。
現時点ではこのまま収束に向かうかは不明確な部分もあるが、企業経営者が今行うべきことは縮小した事業を元通りに、さらに拡大に向けて方向転換することだ。とはいうものの、何から手をつければ良いのか、以前と同じことをすれば良いかなど悩む経営者も多いと思う。
もちろん、業種の違い、事業規模の違い、さらにパンデミックによる影響の大きさの違いによって、行うべきことは大きく異なるはずだが、ここでは単純化して考えたい。

今こそ、経営計画を立案する

パンデミック以前は経営計画がなくても、企業経営に不自由を感じなかった人も多いだろうし、実際に経営計画を毎年に立案している経営者はどれほどいただろうか。経営計画を作成していた人は少数派だったと思う。
補助金の申請書の作成のため、あるいは金融機関の要請に応じて、丸一日かけて経営計画を作成し、それが過ぎれば、その経営計画の存在を全く忘れ去り、日常の企業経営、すなわち“成行きの企業経営”に戻ってしまう。

しかし、パンデミック後の企業経営においては、そのような今までのやり方では通用しないと考えた方が良い。
なぜなら、今からの企業環境は大きく変動し、その変動に飲み込まれると浮上するのは難しいからだ。変動を抑えることは出来ないが、変動を予測し、それに備えることは可能なのだ。

経営計画となれば、難しいものだ、面倒なものだと考える経営者は多いと思う。難しいので避けがちになっているのだろう。
そこで、経営計画立案の簡単な手順を示したい。

まず行うべきは、数年先の売上規模を立案する。現状維持でも良いし、現状の2倍でも良い。あくまで、経営者の希望ベースで良いので、売上規模が経営計画の根幹と考えてもらいたい。
その売上規模を達成するための打ち手、あるいはプロセスが実行計画になるのだ。繰り返すが、まずは毎年の売上規模を希望ベースも良いので作り上げる。
それを達成するのが、実行計画という単純な構造を実践してもらいたい。

事業形態を変える

パンデミックによって、今までの事業構造、すなわち販売数、販売先、あるいは仕入先などに変化が生じた企業は多いと考えられる。
今までと同じ事業形態を変えざるを得ない状況に追い込まれた企業は多いはずだ。でも何を行なえば良いのか、どこから着手すれば良いのか分からない経営者がいるかも知れない。
今までの事業形態を捨てて、新たな事業形態を立ち上げるというと、とんでもない飛躍が求められると考えるかも知れないが、そのような大胆な発想転換が求められているわけではない。少し見方を変えることによる新たな事業計画を発想しよう。

例えば、客数が半減した飲食店では赤字に陥っているかも知れない。
当面は持続化給付金や緊急融資で資金繰りに不安はないが、これが半年も続くと手持ち資金がなくなるとしよう。
事業形態を変えざるを得ないはずだが、どうすれば良いのか分からない。
客数が半減したなら、その減少した顧客数分を新たに確保することが求められる。むやみに広告費をかけて新規客を確保することも考えられるが飲食店なら、テイクアウト、配達、中食食材販売、出張調理サービス、空き時間の店舗貸し、給食、インバウンド向けの飲食を高齢者向けに変更、他の飲食店との共同販売などと、少しの事業形態の変更を想起したい。

この飲食店では、半数の客数はそのまま残っているので、他の半数を新たに確保するという発想で、少し見方を変えることによる客数確保を目指すという考えだ。

新たなことを始める

上述の『事業形態を変える』のは、1~2年程度の短中期的な対応策だ。高齢に達した経営者なら、この施策を打ち出すことだけで十分だと思う。しかしながら、そうではない経営者にとっては、これらの短中期的な対応策だけでは大きな変動期に長期的には耐えられない。
新たなことを始める必要がある。新たなこととは、『新規事業』を指す。新規ということは、従来とは一線を画した事業ということであり、飲食店なら飲食以外、部品製造業なら部品ではない自社オリジナル製品製造の事業といったふうの発想を始める。これら新規事業は小さく始めることが肝要となる。
小さく始めることと、さらに可能なら経営者自身が探索段階から始めるといったふうだ。

新たなことを探索するのは決して容易ではない。
一人だけで考えてもどうしようもないこともある。
かといって、社内で会議を開けば、新規事業の一つや二つがすぐに思いつくというものではない。
考えることと同時に必要なのは、行動することだ。下請製造業者が新規事業を目指すなら、自社オリジナル商品を考え出すと同時に、見込み客に自身のアイデア内容を相談し、それに基づき試作し、見込み客に試作品を見てもらい、批判してもらい、試作を繰り返すといった気の遠くなるような長い工程が待っているかも知れない。

新規事業を始めるに当たって、必要なのは新規事業のアイデアそのものであるし、資金面での裏付けである、さらに協力者・相談者であろう。
しかし何といっても必要なのは、経営者の熱意、くじけない心という心理的な側面だ。

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