リスクマネジメントと危機管理は、英語と日本語の違いだけで同じ意味と捉えられる向きがあるかも知れない。しかしリスクマネジメントと危機管理は全く異なる概念だ。リスクとは文字通り、リスク=危険をマネジメント=管理するということで、危険が発生しないように物事をコントロールするという意味になる。

一方で危機管理とは、危機=クライシスを管理するということで、一旦危機が発生したなら、あらゆる手を尽くして危機が拡大しないように、あるいは終息するように、管理=マネジメントするとうことになる。

そのように考えると、リスクマネジメントの一環として危機管理がある。大きな概念としてのリスクマネジメントの中に、危機管理が存在すると位置づけられる。

何をリスクと捉えるか

ここで明らかにしておきたいのが、リスクと何か、何をリスクと捉えるのかということだ。一般に企業経営では、リスクとは「組織の収益や損失の影響を与える不確実性」と解釈することができる。

リスクの具体的な中身は、各企業、業界ごとに異なるだろうが、例えば建設業界では、工事中に起こり得る事故、談合などのコンプライアンス違反など、製薬業界では、薬剤の副作用・安全性の問題発生、医療費抑制策の発効などが挙げられよう。これら大きなリスク以外にも、日常業務に様々なリスクを内包しているが、これらのリスクを避けつつ経営を継続することにこそ、経営の本質的な課題がある。

リスクマネジメントの方法

経営問題としてのリスクマネジメントを考える場合、PDS(またはPDCA)サイクルで捉えることで対処できる。すなわち、P(=計画)においては、不確実性(リスク)とは何かを知り、それらへの準備を行う。D(=実行)では、現実化しそうなリスクに適切に対応する。S(=評価・見直し)では、リスクを重大化(クライシス化)させないことを重視し、再発防止のために周知するなどである。

詳細に述べると次のようになる。

ここで問題となるのが、リスクの優先順位付けになる。リスクの優先順位は、一般的にリスク発生時の影響の度合いと、リスクの発生の頻度で評価される。すなわち、下図の考え方だ。

ここでは、タイプⅠからタイプⅣまでに分類しているが、もちろんタイプⅠが最も優先順位が高いと言える。このタイプⅠへの対処は、そもそもこのようなリスクが発生することがないように、あらかじめ万全の対応を採っておくことになる。一方、優先順位の最も低いタイプⅢへの対処は、リスク発生が起こり得ることを前提に、発生時の対処をマニュアル化しておくなどが考えられる。

危機管理の方法

危機管理とは、一旦危機が発生したなら、あらゆる手を尽くして危機が拡大しないように、あるいは終息するように、管理=マネジメントするということだと述べた。この場合の対処は次のようになる。

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