事業活動には資金が必要であることは言うまでもない。資金には大きく分けて、自己資金と他人資金がある。自己資金で事業資金をまかなうことが可能であれば申し分ないが、多くの人は他人資金を調達する手段を選ぶ。むしろ、自己資金を使うべきではないとも言える。それは事業活動にはリスクを伴うからだ。要するに、失う可能性があるなら、自己資金を投じるべきではないということだ。自己資金を失って生活基盤が破壊されれば、生存そのものが難しくなる可能性があるためだ。

以下、資金調達の方法を整理してみる。

融資を受ける

第一に考える資金調達の方法は、金融機関からの融資となる。かつては資金調達と言えば、融資を意味する時代もあったように、最もポピュラーな資金調達の方法であり、デットファイナンスとも言う。Debt、すなわち負債となりバランスシート上では右側の負債の部に計上される。したがって、返済義務が生じ、利息を支払う必要がある。したがって、返済期間を長めに、返済利息を少額にすることが狙い目になる。

コロナ禍に陥った事態に対応して、日本政策金融公庫など公的金融機関は、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を始めた。これは利息が基準利率と低く設定され、特別利子補給制度を使えば3年間は無利息となる。しかも、無担保とすることもできる。この政策的な措置がいつまで続くかは不明だが、続く限りは制度の利用を勧めたい。また、民間の金融機関であっても同様の施策が進められている。

金融機関からの融資よりも勧められるのが、親族からの借入だろう。相手がそれで良しとなれば無利子もありだし、返済猶予も交渉次第かも知れない。親族から借り入れが可能ならベストと言える。

株式を発行する

株式を発行する、すなわち株式資本を増額して資金を得る方法である。エクイティファイナンスと称される方法であり、株式を引き受けてもらえるならいうまでもないが、株式発行は、融資先を探すほどには簡単なことではない。バランスシート上では右側の純資産に計上される。もちろん、返済義務はないし、利息も発生しないので、可能なら増資を引き受けてもらいたいと考える。

この株式発行の中で、第三者割当増資という方法が最も一般的だと思われる。縁故者など特定の第三者に株式を発行するという方法であるが、逆に縁故者などであるが故に、何かと経営に口を出される可能性があるかも知れない。それらのしがらみを避け、さらに多くの資金を調達しようとするならば、ベンチャーキャピタルからの出資を受けるという方法がある。ベンチャーキャピタルとは文字通りにベンチャー企業に投資するために設立された企業である。日本にも多くのベンチャーキャピタルが存在するので、このようなベンチャーキャピタル企業にアプローチするにはどうすれば良いのかと問われることがあるが、結局は一般の顧客開拓活動と大差はないと答えることにしている。

具体的に言えば、有望なベンチャーキャピタルを調べて直接アポを取ったり、メールを出したり、紹介を受けたりという手順である。一方のベンチャーキャピタル側も有望な投資先を探しているので、互いのタイミングさえ合えば面談まではこぎつけるだろう。問題は、それからだと言える。魅力的な事業計画になっているか、中長期にわたって安定したリターンがあるのか、企業として成長が見込めるのかなどが事業計画書によって判断される。ベンチャーキャピタルによっては投資先の業種やビジネスモデルに拘りがある場合があるので、それらを見極めながらアプローチを進めることになる。

私の経験では、事業計画書そのものも非常に重要であるが、それと同等程度に経営者の資質を見極めているようだ。少なくとも、事業計画のプレゼンテーションにおいては誠実で自信にあふれた態度に見えるように表現力を磨いておく必要がある。

補助金を獲得する

第三の方法として補助金を獲得するという方法がある。1千万円以上の資金を必要とするなら、モノづくり補助金や事業再構築補助金ということになるだろうか。補助金だから、必ずしも獲得できるわけではないし、これだけを主たる資金調達方法にしていると、いつまでも資金調達の目途が立たないこということになりかねない。したがって、融資や株式発行を主たる資金調達方法に据えて、同時に補助金も申請しておくといったスタンスであるべきだろう。

また補助金というものは、一般に資金を使った後に支払われるものなので、どうしても繋ぎ資金が必要となる。したがって、融資や株式発行を優先するという考えは理にかなっている。

クラウドファンディングを利用する

昨今はクラウドファンディングが普及してきている。クラウドファンディングには、株式型、貸付型、投資型、寄付型などの種類がある。したがって厳密にいえば、先に記述した「融資を受ける」、「株式を発行する」などの一形態に該当しそうだが、ここではインターネットを使った広い範囲からの資金調達と定義されるだろう。

いずれにせよ、多くの人の共感をえて、応援したいと思わせる内容であり、そのことをネット上で表現しておく必要がある。ちょっとしたアイデアを実現するために数百万円以下の資金調達には欠かせない手段となろう。

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