公的支援策を整理する
新型コロナ対策として、国が用意する中小企業向けの公的支援が目白押しだ。数多く用意されていることは、中小企業にとっては非常にありがたいことだが、多くあり過ぎて迷うことも多々あるだろう。少し整理しておきたい。
このような施策は、大きく分類して、①給付、②助成・補助、③貸付、④猶予・減免 となる。自社・自店に合致するものを選んで、早めに窓口に電話するなどして相談することが必要だ。
給付
給付金とは、条件に合致した事業者には無条件に配布されるお金と解釈される。代表的なものは、持続化給付金であり、中小企業は最大200万円、個人事業者は最大100万円となっている。
これについては、既に給付された企業が多いはずだ。
さらにこれから実行される予定の家賃支援給付金がある。
中小企業は最大600万円、個人事業者は最大300万円と予定されるが、詳細は今後発表される。注意したいことは、今年5月以降売上が急減した事業主に限られることで、急減とは過去の1か月で半減、もしくは過去の3か月で30%以上の減少を指すことだ。
助成・補助
先に挙げた給付と、助成・補助とは、ほとんど同じことと解釈される。両者で異なる部分は、給付は条件に合えば無条件にて、助成・補助では無条件ではなく審査があることだろう。
さらに、助成と補助の違いは、監督官庁が異なりことであり、助成は厚労省、補助は経産省というこだ。縦割り行政の複雑さが分かりにくくしている。
助成・補助の代表的なものに、雇用調整助成金と持続化補助金がある。雇用調整助成金は、従業員に休業手当を支給して雇用を維持すればその金額を助成するものだ。一方で、持続化補助金とは、小規模事業者(従業員5名以下)の広告費などに最大150万円を補助するものだ。
これらは、審査があるので申請すれば無条件に補助されるものではない。
さらに大型の設備投資などに、最大1000万円が補助されるモノづくり補助金が用意されている。
これは新規事業などを取組む場合に、審査を経て補助されるものだ。新規事業に必要な大型投資などを考えている企業は、ぜひ応募を検討してもらいたい。
貸付
売上減少が資金繰りを直している。これを正面から支援するのが、実質無利子・無担保融資の貸付制度だ。
3年間無利子、最長5年間元本据置とされる。当初は日本政策金融公庫のみで取り扱ったが、民間の金融機関でも取り扱っている。
融資申し込みが殺到しており、日本公庫では50万件近い申し込みがあったと報道されているので、実際の融資実行まで多少の時間を要するかも知れない。
猶予・減免
国税・地方税、社会保険料の納付猶予が挙げられる。売上が一定程度減少した場合、1年間にわたって、無担保・延滞税なしで猶予される。
売上が一定程度の減少とは、1ケ月にわたって20%とされる。
また、固定資産税・都市計画税の減免がある。
これは、売上が一定程度減少した場合、翌年の2分の1、またはゼロになる。