先に、ICTを活用した新たなビジネスモデルであっても、フランチャイズ化の可能性はあると述べた。ただし、どのようなビジネスモデルであってもフランチャイズ化が適しているわけではない。地域性が強い、あるいは利用者・購入者が増えるともに工数や手数が増えるという特性を持つビジネスモデルであれば、という限定があるとした。本コラムの読者の方に、そのような新規ビジネスを考えている方がいらっしゃると、ぜひ検討願いたい。

話しを元に戻したい。小売店、飲食店、対人サービス業、学習塾などでフランチャイズ本部を構築するためには、何を行なえば良いのかということに言及する。一般に、フランチャイズ本部構築するステップは次となる。

  1. 本部事業計画
  2. 本部機能と組織
  3. 教育訓練機能
  4. スーパーバイザー業務
  5. 契約書および法定開示書
  6. 各種マニュアル
  7. フランチャイジー開発用ツール
  8. フランチャイジー開発開発計画

1~8の各項目はそれぞれがさらに細分化され、それらの業務量は膨大なものとなる。多くは、フランチャイズ本部として自社にて取り組まねばならないが、その司令塔としてコンサルタントの役割がある。ただし、これら各項目が全て揃わなければフランチャイズ化が始められないというわけではなく、数年をかけてこれらを充実するのだという考え方も成り立つ。

引き受けたくないフランチャイズ支援

私が駆け出しのフランチャイズ支援のコンサルタントだった頃、ある先輩コンサルタントから言われた言葉がある。それは、3、2イヤーズ・ルールということだ。英語表記で、3、2Years Rulesで、フランチャイズ本部構築の最低条件を表している。すなわち、フランチャイズ化を図るには、少なくても3店舗を2年間運営しなければフランチャイズ展開を考えるべきではないということだ。3店舗ということは、多店舗化の最小条件であり、3年間ということは店舗運営ノウハウ蓄積の最低条件ということだ。

私たちコンサルタントに持ち込まれるフランチャイズ本部構築の案件には、この最小限の条件を満たしていないものがある。その場合には、私どもは支援をお断りしている。2店舗を自社で長年展開していても、多店舗化の条件は満たしていない。すなわち、店舗を取り囲む多様な条件に合致していないビジネスである可能性がある。仮に立地条件が既存店のいずれとも異なる場合は、店舗運営が行き詰まるかも知れないということだ。あるいは、4店舗を運営しているが、最後の店舗を開業してから1年だという場合は、長期間の店舗運営に欠けている点が見られるかも知れない。仮に既存店が2年目に入った際に、何らかの原因で顧客離れを起こす可能性も捨てきれない。3、2イヤーズ・ルールを満たしていない事業者には、フランチャイズ化をもう少し待つようにと勧める。

また、あまりに特殊事情を抱えているチェーン店の本部構築も、私たちコンサルタントは躊躇せざるを得ない。例えば、社長の個性が強烈で、強いリーダーシップで売上が急伸していると見なされる場合、3店舗程度なら何とかなるが、それ以上の店舗増には対応しきれないだろう。

成功するフランチャイズ本部の条件

成功するフランチャイズ本部の条件にはいくつかの要素がある。例えば、店舗コンセプトが明確であること、さらに店舗数が増えれば増えるほど強みが増す特性があることなどだ。最大のコンビニチェーンであるS社を見ればその有効性は明らかだろう。S社が多くのフランチャイズ加盟店を増やし続けていた時代には、コンビニのコンセプトは明確で魅力あふれたものだった。また、チェーン店が増えれば増えるほど商品力は強まり、ドミナント戦略によって物流の効率化が進んんだ。

これら以外にも成功する条件として挙げられるのは、標準化可能な店舗運営を前提としており、スーパーバイザーにおる店舗支援が適切であることなどがある。

これら一般に考えられる成功の条件の他に挙げたいのは、既存業種の中で新たなビジネスモデルを確立していることを挙げたい。

全く新たなビジネスモデル、例えばICTを活用したマッチングサービスの新ビジネスモデルであれば、フランチャイジーが参加することに躊躇するだろう。例えば、地域の児童に地元の学習塾を紹介するマッチングサービス事業を発案してても、そのビジネスモデルは認知されていないので、フランチャイジーを募集しても集まらない可能性が高い。ビジネスとしては成功するかも知れないが、フランチャイズ化には苦労する。また、既存業種の中で旧来のビジネスモデルを踏襲している場合はフランチャイジーには魅力には思われない。ラーメン屋が単に多店舗化を目指す際には苦労するということだ。

既存業種の中で新たなビジネスモデルを確立することができれば、フランチャイズ化が図れる可能性が高い。例えば、スポーツジムであるが一般のスポーツジムとは異なり、24時間営業で加盟店を増やしているAnytime Fitnessなどはその好例だろう。スポーツジムということであれば、フランチャージ―にとって失敗する可能性は低く思われ、とりわけそのビジネス形態に特徴があるので魅力に思える。フランチャイズ化の成功条件は、フランチャイジーにとって加盟が魅力に思えるかどうかにかかっている。

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