長年の間コンサルタントを行っていると、どのような課題に際してもあまり慌てることがないようだ。コンサルタントであれば誰でもがそうなのかと問われれば自信はないが、少なくとも私はそのようだ。何も自慢をするわけではない、単に慌てないというだけで、どのような課題にも問題なく最良の答えを出すとは言ってはいない。慌てずに、課題に対応できるということだ。

コンサルタント歴が長くなると、様々な経営課題に相対することになる。全く経験のない分野、業種、解決を求められる課題などに遭遇する。そうすると、そこに潜んでいる本質的な共通点の存在に気づき、共通解を求めることで多くの経営課題に対処できるようになる。多少の分からないことがあっても、誰に訊けば詳しいことが分かるとか、ネットや書籍で詳しく調べることができるだろうとかの目星をつけることができる。しかしクライアントには、私は詳しく知らないとか、未経験ですと話すことはない。何事も知っている風な顔をしなければならない。

付け加えると、僕の場合にどうしても踏み出せないコンサルティング分野というものがある。例えば、工場現場の生産性向上などコンサルタントとしての経験よりも、それ以前の職業としての経験が意味を持つ分野だ。このような分野ばかりは、多くの職業経験を持つといえない私にとっては、得意分野とは言えない。仮にこのような案件の相談を受けると、断るか、そのような分野が得意なコンサルタントを探すしかない。

コンサルタントとしてのインプット

コンサルタントという職業は、今までに得た知見やスキルを他の組織や経営者に示し、与えて、役立ててもらうことを生業としている。今までに得た知見やスキルを与えるということは、今までに得ているものがなければ成立しない職業ということになる。したがって、新卒ですぐにコンサルタントに就くということは論理的にあり得ないはずだ。あり得るとすれば、予め課題が決まっていて、課題解決の方法も決まっている場合に、その課題解決の業務だけに就く場合だろう。例えば、Slerでプログラミングを担当する場合などだ。

ある程度以上の蓄積したスキルやノウハウ、知見が求められるのがコンサルタントということになるのだが、実際には一般のサラリーマン(もしくはウーマン)と比べて、膨大な知見やノウハウを持っているわけではないはず。そんなスーパーマン(もしくはウーマン)のような人はこの世に存在しない。コンサルタントには、むしろ応用する力が必要となる。言い換えれば、どのような要求であろうと、今までに得た知見やスキルを応用して、新たな経営課題に向き合って解決策を探ることが求められる。

「インプットはそこそこに、アウトプットは膨大に」ということが理想のコンサルタントのあるべき姿と考えている。コンサルタントにとってのインプットと何を指すのだろうか。もちろん、コンサルタントになる以前の職業経験の中で身につけたスキルが意味を持つことは間違いないが、その経験が大きな意味を持つなら、多くの転職を繰り返した人がコンサルタントに適性があることになる。そんなことがあるはずもない。インプットとは、以前の職業経験で得たスキルや知見よりも、学ぶための姿勢や心構え、さらに言えば応用力ともいうべきものだろう。

学ぶということ

コンサルタントに限らず、学ぶことに熱心な人がいる。セミナー受講を繰り返し、多くの専門書を熟読し、あるいは資格取得に熱心な人たちだ。このような姿勢は尊敬に値するが、コンサルタントとしてはそのような行動は必ずしも必要と思えない。セミナー、専門書、資格取得は、いずれもインプットとしては申し分ない。しかしそれらの行動は、コンサルタントとして必要最小限の行動を行っているに過ぎない。

いやしくも私は、複数の資格を持っているし、多くの専門書を集めて読んでいるので、自己否定に繋がりかねない。しかし、敢えてコンサルタントとしてのインプットは必要最小限で十分と言いたい。重視すべきは、むしろアウトプットだ。

誤解を受けそうな表現だが、コンサルタントはアウトプットにすべてをかけるべきだ。アウトプット、すなわちクライアントの要望に最大限応える言動が、コンサルタントの知見やスキルを育てる。多少分からないことがあっても、それらはその際に学習すれば良いはずだし、十分に間に合う。

今だから笑い話になるのだが、私がコンサルタントになりたての頃、フランチャイズ本部構築のオファーをいただいた。そのオファーをいただいた後にクライアントである経営者に面談する直前まで、「フランチャイズ入門」の類の本を複数読んでいた。その知識を元に、フランチャイズ本部構築の仕事に入っていったのだ。もちろん、私の知識で不十分な部分は他のコンサルタントに補ってもらったが、それでもある意味で十分だったと思う。

コンサルタントは仕事を行いながら成長する。むしろ、コンサルタント業務を多く経験することがコンサルタントを育てるのだ。だから、「インプットは最小に、アウトプットは最大に」ということなのだ。

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