多くの経営者の最大の関心事は、売上をあげることだろう。売上が上がらなければ利益は出ない。利益が出ないと、自分自身はおろか、従業員の給料の支払いにも滞りが出る。そうなると、会社存続の危機を迎えるといことになる。

売上を上げる方法は、大きく二つに分かれる。その一方を積み上げ方式と呼ぼう。積み上げ方式とは、今までに気づき上げた顧客、販路、商品やサービスを維持しつつ、それらのレベルを少しでも良いので、とにかく上げるということだ。もう一つの方法を飛び道具方式と呼ぶことにする。これは、従来の顧客、販路、商品やサービスなどから一旦離れて、新たな方式を採用するというものだ。

<積み上げ方式>

積み上げ方式とは、小売店であれば、接客のレベルを一段階上げる、従来から行っているダイレクトメールの頻度を上げる、商品の品揃えに新しいブランドを加えるなどだ。製造業であれば、品質保証の体制をしっかりと築き上げる、欠品や過剰在庫を避ける方法を導入する、より小型(大型でも可)の商品を試作してみる、既存の取引先に新商品の打診を行うなどだ。

これらの施策は、経営者なら当然ながら経営の根幹に据えているはずだ。であっても、なかなか実行するのは容易ではない。地道な活動であるし、今までに散々行ってきた方法でもあるだろう。しかし、何かしらの要因で徹底されなかったり、途中で止めている場合もあるだろう。

これらの地道な方法は、経営にとっては本質的なことなのでおろそかにはできない。多くの経営者はそのように思っているので徹底したい。でもその効果は必ずしも明確でないし、効果が見えるまで時間もかかりそうに思える。したがって、経営者の視野から外れて、このような地道な改善施策が抜け落ちる場合もありそうだ。

<飛び道具方式>

飛び道具方式とは、小売店ではあれば、ネット販売を開始する、ネット販売に際してリスティング広告を始める、従来の商品とは異なるジャンルの商品を取り扱うなどだ。製造業なら、思い切って自社ブランド商品を一般消費者向けに販売してみる、自社の生産ラインを使って従来とは全く異なる商品を試作してみる、製品を販売するのでなく、その商品のレンタル業に進出するなどだ。飛び道具たる所以は、従来とは異なる発想を生かして飛躍するということだ。

これらの施策は、新規性があり経営者に夢を見させる一面がある。したがって、新しい経営方針や施策を求めがちな経営者にとっては魅力的に思える。その一面で、思わぬリスクが潜んでいたり、新たな投資が必要だったりする。それらの負の側面を抗してでも実行する意義があるのか熟慮する必要がある。

<二つの方式の使い分け>

どちらの戦略選択が優れているかというつもりはない。経営者の発想には、両方が必要となる。ただし、いつのタイミングかによって、どちらの発想がより求められているのか判断する必要がある。現在のコロナ禍には、どちらかと言えば「飛び道具方式」が適している。すなわち、変動期には飛び道具方式を選択すべき、安定期には積み上げ方式を選択すべきというということだろう。また、属している業種・業態によっても、両者の経営における比重は異なりそうだ。IT企業では飛び道具方式、下請中心の製造業なら積み上げ方式に経営の比重を置きたい。

<アンゾフ的見方>

この二つの戦略的な売上増の方法は、アンゾフマトリックスで説明される。下図がアンゾフマトリックスと呼ばれるツールだが、顧客軸と商品・サービス軸によって、事業戦略を4つの領域に分ける考え方だ。

積み上げ方式は、この図では既存事業領域Aに属する考え方だ。飛び道具方式は、新規事業領域B、C,Dに属する考え方だ。

領域名の下に記述した%表示は、各事業領域を選択した場合の成功確率を表現した。(私の主観による)

最も成功確率が高いのが既存事業領域Aとした。失敗する確率が低いが、成功したとしてもその効果が限定的と考えられる。一方、新規事業領域B、C、Dは成功確率が低い。とりわけ、新規事業領域Dは10%の成功確率とした。既存顧客と決別し、既存商品・サービスとは異なった商材を提供することになるので、それぞれの継続性のメリットを甘受できなくなるので、当然といえば当然だろう。

最も成功確率が高いのが既存事業領域Aとした。失敗する確率が低いが、成功したとしてもその効果が限定的と考えられる。一方、新規事業領域B、C、Dは成功確率が低い。とりわけ、新規事業領域Dは10%の成功確率とした。既存顧客と決別し、既存商品・サービスとは異なった商材を提供することになるので、それぞれの継続性のメリットを甘受できなくなるので、当然といえば当然だろう。

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