事業計画を策定することは、創業間もない企業にとって必須です。また、既存企業にあっても新事業に乗り出す企業や、さらなる飛躍をもくろんでいる企業にとっても欠かせないことです。金融機関に事業計画を説明する必要があるでしょうしし、なんと言ってもこれからの自社の事業を育てる目標を明確にしておくことは欠かせないことです。

では、事業計画を策定すると一口でいっても、何から手をつければ良いでしょうか。ネットでも書籍でも事業計画の作り方を解説したものは多いのですが、単に、事業コンセプト、マーケティング手法、広告宣伝、売上計画、資金計画などが網羅されているだけです。それぞれの項目は非常に重要なのは理解されますが、では実際には何から手をつければ良いのでしょうか。具体的に分かりやすく事業計画の策定方法について解説したものはほとんど見当たらないようです。

ここでは、事業計画を策定するに当たってまず行うべきは、「ボトムライン」から手をつけることをお勧めします。ボトムラインとは、決算書の最終行のことです。すわなち、利益(もしくは損失)額です。ここから事業全体を描く方法と、その利点を説明します。

経営の結果は利益に集約される

「事業の目的」は何かと問われて何と答えますか。様々な答えがあり得るでしょうが、最も多くあると思われるのが、「儲ける、利益を得る」ではないでしょうか。私は研修などの機会には、「継続すること」だと紹介するのですが、この答えは事業の継続こそが究極の目的という前提です。究極の目的ではなく、目前の目的ならば間違いなく「利益」でしょう。利益が上がらなければ、企業が継続することは叶わないでしょう。

そうであるなら、事業目的として真っ先に考えるべきは「利益」だということは当然の帰結と言えるでしょう。事業目的は利益を上げることだとして、ここでは事業の数値目標を、自分の年収を元に組み立ててください。売上高ならともかく、利益というものは何やら掴みどころがないと考えられます。もう少しかみ砕いて、自分の年収と置き換えてみてはいかがでしょうか。個人事業主の方なら利益イコール年収と考えても良いでしょう。法人の場合は、利益額は役員報酬額の設定に直結しています。何より重視すべきは自分の年収とすれば分かりやすいですが、しっくりこない方もおられるかも知れません。ここは割り切って、事業計画の策定のための方便だと考えてください。

例えば、自分の年収を手取り480万円に設定するとします。そうすると、月額で40万円になります。税金やら社会保険料があるので、名目で月額50万円ということにしましょう。この額から経費や原価をプラスすると、月当たりの売上額が算定されます。この売上額が妥当なのかどうかの検証を行うことになります。

上で述べたことは個人事業としての考え方ですので、従業員を雇用している法人ではもう少し複雑になります。全従業員の人件費と経営者の役員報酬を合計した人件費を算出します。役員報酬はともかく従業員の人件費は算出できないという方は、考え方をあらためてください。人件費は経費ではなく、経営者にとっての義務ということです。雇用した時点で、経営者は雇用を継続して給与を払い続ける義務が生じます。給与ですので多少の増減はあり得ますが、その増減を組み込んで人件費を算出してください。

人件費から売上高を算出する

自分の報酬や人件費を組み込んだ損益計算書を描いていきます。そこで次に算出するのは、販売費および一般管理費です。広告宣伝費、通信費、減価償却費、交際費など様々な経費がありますが、前年実績があればそれを元に、当年の特殊事業を鑑みて計画値として算出してください。ここでは「えいっや!」という風でも良いので、とにかく数字を埋めてください。

こうすると、売上総利益(粗利)の行が算出(逆算)できるはずです。さらに売上と売上原価を算出します。原価率がおおよそ定まっている事業者であれば、売上総利益が決まれば売上と売上原価は決定します。そうでない事業者であれば、売上原価から記入して、売上を決定してください。

売上を検証する

ここまでで、月当たりの売上が算出できるはずです。業種によって売上高の構成は様々だと思います。分かりやすいのは小売業でしょう。この場合は、「売上高=販売数×平均商品単価」にて表現されます。平均商品単価は、小売業なら想定することは容易です。一方で、販売数は売上高を決めたので、当然に算出されます。他の業種であっても考え方は同じで、多少のアレンジを加えるだけで販売数を算出してください。

これで月当たりの販売数が算出できました。この販売数が達成可能と考えるなら、数値計画は一応の完成を見ます。ちょっと無理だと思われるなら、そもそも人件費もしくは自分の年収が高すぎた、あるいは経費をかけすぎるということになります。そこで、これらの数字を調整して納得する数字に落ち着かせます。

売上を達成する手段が実行計画

売上高を数値として設定しました。ただし、何もしないで売上を達成することは不可能です。売上を達成するために、何を行うのか、営業活動はどうするか、生産はどうなのか、仕入はどうなのかなど、全ての活動を売上達成の手段として捉えます。これらの活動を全て記述することが実行計画の策定になります。

ここではざっと非常に大雑把な表現で事業計画の策定方法を記述しました。簡単な表現になりましたが、実際に事業計画を策定するのは大変です。最低でも数日かけて、行きつ戻りつ、また詳細部分は人に聞いたり調べたりすることが必要かも知れません。しかし自分で策定した事業計画ならば納得がいくでしょうし、実際の数値に達しなければ修正することに躊躇することはないでしょう。

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