事業再構築補助金のポータルサイトに、「事業再構築指針の手引き」が3月17日に公開されました。

先に公開された「事業再構築補助金の概要」と合わせて、補助金の獲得を目指している方は十分に読み込んでください。以下、注意点などを私なりにまとめしたので、参考にしていただけたらと思います。

事業再構築補助金のポータルサイトのURL

https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

事業再構築の定義

この手引きでは、「事業再構築」を次のように定義しています。すなわち、

  • 新分野展開
  • 事業転換
  • 業種転換
  • 業態転換
  • 事業再編

のいずれかに該当することです。

「事業」、「業種」、あるいは「業態」など同じような意味かな? 思われる言葉があり、頭が混乱しそうです。

これらを理解する前に、まず「日本標準産業分類」という国が定めた産業区分を調べておく必要があります。ネットで調べられるので、ザっと見ておくことが勧められます。この中の大分類を「業種」と呼んでいます。また、中分類・小分類、さらに細分類を「事業」と呼んでいます。

例えば、製造業と飲食業では「業種」が異なり、飲食業の中で喫茶店と居酒屋では「事業」が異なるという理解で十分です。

そこで、あらためて事業再構築の定義に詳しく見てみます。

  • 新分野展開       
                → 業種を変更せずに、新たな製品やサービスを提供し新市場に進出する
  • 事業転換
                → 業種を変更せずに、主たる事業を変更する
  • 業種転換
                → 業種を変更する
  • 業態転換
                → 製品やサービスの製造方法や提供する方法を変更する
  • 事業再編

            → 会社法上の組織再編を行って、上の3つの展開もしくは転換を行う

ややこしいのが、「新分野展開」と「事業転換」の違いは何かということです。同じく、「業種を変更せず」とありますが、何が異なるのかということです。「新分野展開」では、数年後に新たな製品やサービスの売上高が総売上高の10%以上となる計画であることとされています。

一方の「事業転換」においては、数年後に新たな製品やサービスの売上高の構成比が、最も高くなることとされています。ですので、「事業転換」の方が売上高の伸長率が高いということでしょうか。

事業再構築の要件で強調されていることの中で注目すべきは、「新規性」に関わる部分です。新規性があると判断されるには、次の要件が挙げられています。

  • 過去に製造やサービス提供した実績がないこと
  • 製造・サービス提供に用いる主要な設備を変更すること
  • 競合他社の多くが既に製造・サービス提供していないこと
  • 定量的に性能や効能が異なること

3つの目の「競合他社」に関しては、一般的に多数の企業が参入していなければ良いと判断され、多くの他社が製造・サービス提供していなければ良いと考えられます。

実際に事業再構築補助金の獲得を考えておられる経営者の方々はどのようにお考えでしょうか。それほど高いハードルではなく、多くの方が考えられている事業再構築の中身は、この手引きにある「事業再構築」の定義に合致するのだろうと考えます。また、申請書を作成する中で、事業再構築の中身がブラッシュアップされるのだろうと期待しています。

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